飲料水と生活用水の確保


●飲料水の確保が大変●
 
 電気は復旧し、調理はホットプレートやカセットコンロで代用できましたが、水だけは入手に不自由な状態が長期間続き、営業を再開したスーパーやコンビニではペットボトルの水は常に品切れ状態、自治体や自衛隊による給水には毎日長蛇の列ができました。

 給水量は開始当初では1人3リットル。人が生きるのに最低限必要とされる1日2.5リットルよりやや多いだけで、手や顔を洗うことすらできないわずかな量でした。
 
 給水は主に避難所周辺で行われたため、自宅が遠い人は避難所で暮らすしかなかったのです。

●生活用水が足りない●
 

 飲料水よりも深刻な問題は生活用水でした。日本人が日常生活で使用している水道水は1日でひとり200リットル以上と言われています。

 そのうち飲み水や炊事に使うのは28%で、あとは入浴に32%、掃除洗濯に22%、トイレに18%、計72%・・・144リットルが生活用水として使われていることになります。

 上水道が徐々に復旧し、ひとり当たりの給水量も増えましたが、これだけの量をすべて給水から得るのは不可能なことです。



 あまり知られてはいませんが、避難所の生活で最も深刻な問題はトイレをどうするかということでした。入浴や洗濯は我慢できても排泄だけはどうしようもありません。

 避難所のトイレは流す水が出ないのですぐに満杯となり、グランドや側溝、砂場などあらゆる場所がトイレとして使われ、劣悪な衛生状態が問題となりました。

 仮設トイレは震災の翌日から設置が始まりましたが、想定していなかった自治体は備蓄しておらず、ほとんどを他の自治体から借り受けたり民間業者からのレンタルで対処しました。

 設置された数も当初は1,700人に1基の割合でしかなく、常に長蛇の列が続いていました。1週間後でも200人に1基、2週間後にようやく100人に1基となり待ち時間は減少しましたが、排泄物の回収に手間取り使用不能のトイレも数多くありました。

 また、仮設トイレのほとんどが和式であったため、つらい姿勢を敬遠したお年寄りが水分を控えたため体調を崩される方が増え、大きな問題にもなっていました。

 自宅のトイレが使えないという理由だけで、多くの方が仮設トイレのある避難所で暮らすことになってしまったのです。飲み水よりも多く必要な生活用水は、供給が断たれると正常な生活が維持できなくなる必要不可欠なものなのです。

 緊急時にこれを確保する方法はないものなのでしょうか?
※写真は、神戸大学附属図書館 震災文庫のものをリンクさせていただいております。